2011.01.13

 初・北方謙三

 図書館から予約した本が入ったというメールが来たので、幼稚園の「なわとび会」参観の後に受けとりに行く。

 一冊受けとるつもりが、たまたまのタイミングで3冊同時に届いていた。

 ① 『抱影』 北方謙三

 ② 『TRIP TRAP』 金原ひとみ

 ③ 『もし高校野球の女子マネージャーが ドラッカーの『マネジメント』を読んだら』 岩崎夏海

 これに、前回借りて読み切れなかった ④ 『チーズと塩と豆と』 角田光代 井上荒野 森絵都 江國香織  ⑤ 『クリムトと猫』という絵本。

 私は、買うほどじゃないよなあという本は、長くなったとしても図書館の予約を待つけど、『もしドラ』は、やっぱり借りて良かった。

 ベストセラーって本当に危うい。

 レビューで書いてる人もいるけど、ドラッカーの話に入る以前に、どうしても稚拙な文体になじめず(「~だった」「~だった」の繰り返し)、すぐに断念。

 目下、『抱影』読書中。

 この本は、夕刊の書評で知ったけど、例えば、 

<水とウイスキーの相性は、よくない。調合がぴたりと決まった時だけ、水割りなどとは呼べない、まるで別の酒に変貌するのである。>

 こんな文章にシビれる。

 酒のことを本当に知らないと書けないと思う。

 北方謙三と言えば、ハードボイルド作家として有名で、最近では、嵐の番組で「~~しやがれ!」って言ってる姿が楽しいけど、初めて読んだ。

 そもそも、ハードボイルドってなんだ?

 固ゆで?

 固ゆで卵??

 と思いながら調べてみると、確かに卵、関係あったんだ!!

 ウィキペディアですけど・・・

 <ハードボイルドhardboiled)とは、元来は「堅ゆで卵」、つまり白身・黄身の両方ともしっかり凝固するまで茹でた鶏卵のこと。

転じて、感傷や恐怖などの感情に流されない、冷酷非情、精神的肉体的に強靭、妥協しないなどの人間の性格を表す言葉となる。文芸用語としては、反道徳的・暴力的な内容を、批判を加えず、客観的で簡潔な描写で記述する手法・文体をいい、アーネスト・ヘミングウェイの作風などを指す。また、ミステリの分野のうち、従来の思索型の探偵に対して、行動的でハードボイルドな性格の探偵を登場させ、そういった探偵役の行動を描くことを主眼とした作風を表す用語として定着した。>

 だそう。

 北方氏の文章は、男のにおいがぷんぷんする。

 恋愛的な好きよりも、このところ生物学的に男の考え方に興味あるので、読んでいてもおもしろい。

 読書って、年齢とともに、味わい方が違ってくるからいいな。

 読書と言えば、夕方、東京でのあるイベントの告知を通し、またしても不思議なつながりを知る。驚いて主催者・ゲスト双方に伝えたら、「きみも顔が広いねー」との反応だった。我ながら顔は広いと思うけど、なんというか、行く先々でことごとくつながっていくのが不思議。

        

            

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2010.11.21

  『pink』とOくん

Pink

 何回か書いてるけど、時々、むっしょ~に読みたくなる岡崎京子の『pink』。←画像は最初の表紙。

             

 Pink2

 こっちは新装版だけど、私は自分も持ってる最初のやつが断然好き。

 

         

         

 アマゾンに出ている紹介文より・・・

<89年初版の発売と同時に岡崎京子の名を文学界にまで知らしめた、傑作中の傑作。評論家たちから「マンガは文学になった」と言われ、その完成度の高さが彼女のマンガ界での地位を確立したといっても過言ではない。ふだんはフツーのOLユミちゃんが、密かに自宅でワニを飼い、エサ代のため、自分の好きなものを我慢しないためにホテトル(!)嬢をしている。そこに作家を志しながら義母の愛人をしているハルヲ、義理の妹ケイコ、決して相容れない義母がからむ。リアルなセックス描写を交えながら、お金とは、本当の愛とは、を描いた作品。彼女が敬愛するジャン・リュック・ゴダールを思わせるコマ割、真実を つく乾いたセリフと人物描写や時代性が、岡崎京子ならでは。 >

 ウィキペディアでは、

<テーマは「愛と資本主義」。夜は売春しながらワニを飼う22歳のOLが主人公。乾いた陰惨さの漂うストーリーが、作者の作風の転機となった。タイトルは主人公の好きな色から。>

 とのこと。

 何度読んでも発見があり、何度読んでも、岡崎京子って天才と思う。

 当時は、ユミちゃんがワニを飼っている設定に衝撃を受けたけど、のちに読んだ村上龍の『コインロッカー・ベイビーズ』で、アネモネがワニを飼っていて、いったいどちらが先だったのだろうと、過剰に気にした時期があった(ちなみに、『コイン~』は1984年発行)。今となってはどっちでもいい話で、どっちも不朽の名作。

 考えてみれば、岡崎さんの漫画は、今フランスにいる妹の友達から間接的に知った。

 Oくん。

 ロンドンで少し遊び、長男を妊娠中に豊橋で会ったのが最後だなあ。

 彼の思い出は妹を通していくつかあるけど、どういう流れか忘れたけど、当時私と妹が住んでいたアパートにやって来て上がり込み(私は留守で、妹もまだ帰る前)、妹が帰宅してみたら、引き出しから勝手に出した私のTシャツを着て、妹のジャージのハーフパンツをはき、窓をぱーぱーに開け放して煙草を吸いながら妹に、「お帰り♪」と言ったという。その姿が(聞いた話だけど)一番印象に残っている。

 「お前、いい加減にしろよ!」と説教したくなる気持ちと、「そこまで勝手にするのはアッパレ!」みたいな感嘆する気持ち。シモキタが近かった頃の話。

 高校時代に買った、赤い『MAD』という文字と、歯抜けの女の子の絵が描いてあった大きめのTシャツ。お気に入りだったあのTシャツは、どこに行ってしまったんだろう。ただOくんの残像とともにある。

 Oくんそのものが、岡崎京子の漫画に出てきそうな人だった。

 私の90年代の風景に、間違いなく彼はいる。

     

                    

         

        

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2010.11.18

 昭和からの料理本

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 画像の大きさをそろえようと思ったら、でっかくなっちゃった。

 まず、『巴里の空の下 オムレツのにおいは流れる』

 あまりに有名な、石井好子さんの料理にまつわるエッセイ。なんといっても、タイトルが秀逸なのと、花森安治の装本も素敵。

 ずっとずっと読みたいと思っていて、今年になってようやく買った。

 昔、まだまだ海外暮らしなど珍しかった頃に、音楽を学びながらパリでの暮らしや未知の料理に心躍らせていた石井さんの姿が思い浮かぶ。料理を再現した本も、図書館で借りてきて読んだ。

 遠慮せず、使う時はたっぷり「バタ」を使いたくなる。

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 そして、向田邦子ファンにはたまらない料理の本。

 向田さんの料理好きは、小説やエッセイを読めば強烈に伝わってくる。この本の存在を知る前に、エッセイ『夜中の薔薇』で読んだトマトの青じそサラダや、わかめの炒め物はすでにトライしていた。

 この本は、妹さんが再現した料理のレシピ以外にも、向田さんの写真やエッセイからの抜粋文も満載で、楽しめる。向田さんの周辺の人たちからの寄稿文でも、彼女の人柄が偲ばれる。

 エッセイは、すでにこのブログでも紹介したことあるけど、例えば、<昔の女は、ひとつの卵をどう料るか、そんなところに女の才覚があったのかも知れない。 『麻布の卵』>

<新しいフライパンや支那鍋をおろすときは 新しいドレスをおろすときよりも緊張する。 『焦げ癖』>

 など・・・。これだけでも彼女の人となり、類稀なる才能が伝わってくる。

 ちなみに、『向田邦子の手料理』は、次男を連れて行った耳鼻科で読んだ『おとなの週末』で知った。元彼が、元『おとなの週末』編集部にいて、たらふく美味しいものを食べていたので(たらふくお太りになったようで)、見れば手にする雑誌。

 二冊とも、昭和の香り漂う、家庭科の教科書を思い出すような本。

 石井さんも、向田さんも、この世でいっぱい美味しいものを食べて、旅立ったんだなあという感慨さえ湧いてくる。

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 以下、訂正。↓金さんの宣伝も兼ねて今日UPしたいと思ったけど、特別編成で、金さんのスタパは26日だそう。

 ☆明日のNHK『スタジオパークからこんにちは』のゲストは、4日にお会いした金さんです! http://www.nhk.or.jp/park/

 ☆長男は歩いて登下校できるようになったけど、しばらくリハビリが続く・・・。病院には同じような男子と母の組み合わせ多し!

 ☆上記をUPした後で、調べてみると『巴里の~』は、初版昭和38年!発行。『向田邦子の~』は、1989年6月発行で、その年は、昭和から平成になった年だった。ま、内容は昭和ってことで・・・。いずれにしても、素敵な二冊です。

                       

           

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2010.11.11

 共感と息子

<以下は、一昨日書いてあった分です>

 最後の病院の話が、次回へ続きます。ミラクル&ワンダフル!

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 佐野洋子さんの追悼で、色々読み返している。

 分身かと思うほど、共感する文章の数々。

 『私はそうは思わない』より・・・

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 <私は妊娠すると死ぬと医者がいっていたのを忘れていた。死になんかしなかった。出すだけのオッパイを出すと私の乳房は何食わぬ顔で七十五センチに戻り六十三キロの体重は四十三キロになった。私は自分の体に人格があるなどとは思えない。地面とかキャベツとか、はえとかと同等のものであり、私の意志でないものが私を支持していたのだと思える。>

 <考えてみると元気はつらつとした記憶がない。よくあるでしょう、買った時計がやたら故障するとか、工合の悪いミシンとか、欠陥商品と言われるもの。私人間のあれ。

 それなのに私は人から活動的でエネルギッシュだと思われている。・・・・・・>

 <もし無意識にそういうものが現われているとすれば、私は我と我が身を励まそうとしているのかも知れない。この欠陥商品を何とか人並みに機能させるために私は我が身を励まさねば生きていけないのである。しかしそれも明確な意識のもとにやっているのではない。私がこの世に現れて、生き続けるために、私ではなくありがたいものが、そうさせてくれているのだと思う。この世はみにくく、めちゃくちゃでくそいまいましいが、しかし、限りなく優しく美しくおごそかに、衿を正してひれ伏したい程素晴らしい。>

 <息子が言った。「俺は、母さんを少しは尊敬するところもあるけど軽蔑もしているぜ」「あんた、軽蔑出来る母親を持って運がよかったね、軽蔑する母親をふみ越えて成長出来るじゃない。親をまるごと愛したりしたらマザコンの化物になるよ。感謝しろ」「出来の悪い母親を持って、ありがたいと思っていますよ」「ありがとう」>

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 じんじん泣ける。

 私が深く共感する人は、なぜだか共通して第一子が男で(もしくは子供を持ったとして男の子)、離婚している。

 共感はともかく、いわゆる著名人を見た時、息子持ちで離婚してる人多いと思いませんか。

 気が強いからそうさせるのか、その環境が気を強くさせたのか。

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 家の近くの更地に、何が建つかと思ったら「病院」らしく、一緒に車に乗っていた長男(捻挫のため送り迎え実施中ですよ)に、「病院が近くにできるのは嫌だけど、年とってから近いからいいか」と伝えたら、「こんなに近いんだったら、お母さんおんぶして来れるじゃん!」と言ってくれて、ひそかに泣けた。

 やさしい息子の世話にならないように、死ぬまで自分の足で歩けるように、母さんがんばるよ!!

            

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2010.11.06

 佐野洋子さん

 佐野さんの訃報を新聞で知った。

 72歳だった。

 長くも短くもない、佐野さんなりの天命だろうなあと思いつつ、涙が出てきた。

 佐野さんは、絵本作家として、『100万回生きたねこ』が広く知られているけど、私は佐野さんのエッセイの大ファンだった。

 特に小林秀雄賞を受賞した、『神も仏もありませぬ』には感動した(イラストも佐野さん)。

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 2003年発行。当時の私は1歳の長男の世話に追われていた。

 小説を書きたい、けど、思うように時間が取れない。そんな中で出会った佐野さんの文章は「ふつうが一番えらい」というトーンで貫かれていて、人間のようにうろたえずにふつーに死んでいく猫や、大自然の中で些細なことに動じず農業をしている夫婦への尊敬などが綴られていた。

 佐野さんにお手紙を送りたい!!と思いながら忙しさを理由にコンタクトを取らず、のちに、『赤土に咲くダリア』を出した時には、佐野さんに送りたいと思っていたのに、当時の佐野さんはがんであることを作中で公表したばかりの頃だったので、遠慮した。

 私にとっての佐野さんは、『神も仏もありませぬ』で知り、さかのぼって、『ふつうがえらい』、『がんばりません』、『私はそうは思わない』を読み、その頃が絶頂で、その後、『シズコさん』や『覚えていない』や『役に立たない日々』も買って読んだけれど、かつての勢いというよりは、やや老年期のボヤキのようにも感じられ、少し遠ざかってしまった。

 今回訃報を知り、どんなに忙しくても、どんなに遠慮はあっても、やはり生きているうちに佐野さんにお手紙や自分の本をお届けすればよかった、と悔やんだ。

 人生のタイミングというのはどうしてもあって、本来ならバッチリ合う人でも、お互いのタイミングが合わないために関わり合えない場合がある。

 それでも、亡くなってみて余計に、佐野さんは私にとって、唯一無二の存在だったなあと思い知らされた。

 中国から引き揚げた体験もあり、ずっと、「きれいごと」を排除した視点から世の中について書いていた。観察眼がとても鋭く、厳しく、あたたかかった。

 息子さんを育てた経験談もおもしろかったし、励まされた。

 やり場のない思いはあるけど、

 やはり、この人!!と思う人とは、なんとしてでも生きている間につながりたいと改めて思ったし、後悔しても仕方がないので、その思いを今後に生かしていこうと思う。

 私の文章を好きだと思ってくださる方で佐野さんまだの方は、ぜひ読んでください。

 佐野さんみたいな感性をいいと思ってくれる編集者さんに会いたいなあと熱望したほど、いい本がいっぱいです。

 知り合いが、ずいぶん前、ネパールの空港で当時まだご夫婦だった谷川俊太郎さんと佐野洋子さんにバッタリ会ったことがある。お二人とも、とってもいい人だったそう。

          

       

        

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2010.10.05

 袋とじ

 前も書いたけど、私はオッサン(男性)雑誌が大好きである。

 新聞で広告を見て、気になる記事があったらたいてい近所のコンビニか本屋で立ち読みし、「これは!」と思ったら買っている(立ち読みばかりしてると申し訳ないので、意識的に買う時もある)。

 昨日の目的は、『週刊プレイボーイ』の小島慶子さんのグラビア!

 小島さんは同じ学年に当たる元TBSアナウンサーで、親しい男友達が小島さんのラジオ番組『キラ☆キラ』をよく聴いているので(ポッドキャストで)、興味が増していた。

 コンビニで立ち読みしている男性に紛れ、『プレイボーイ』を手にし(迷いなし)、目的のグラビアを探したら、袋とじ(笑)。

 「なんだよ、袋とじかよ~」と思わず小声でつぶやいた後、インタビュー記事を読んだら、共感する言葉ばかりだったので、買うことにした。

 運動会の代休で家にいる次男のそばで、袋とじを丁寧に開ける私・・・(笑)。

 <ここで袋とじの昨年の思い出を語ると、通院中、薬局の『フライデー』で見ようと思った中山美穂さんの『サヨナライツカ』のグラビアが袋とじだった。1週目はさすがに薬局の雑誌だしと思って袋を開けて見ることはしなかったが、2週目もまた開けられずに置いてあった雑誌を発見し、「このまま開封されずに次の雑誌になるのはもったいない」と思い、「診察券で」封を切った。中山美穂さんは美しく、診察券を使って開けている自分が我ながらおかしかった>

 さて、小島さんは綺麗だったし(慶とか麗って文字が似合うなあ)、きっと子供を産んで、フリーのラジオ・パーソナリティーになって、ますます自由になっていってるんじゃないかな?と、同世代、同じ二児(しかも男)の母としてうれしかった。

 いわゆる熟女ヌード(注:小島さんは水着)は、悲壮な感じがして好きじゃないんだけど(←お好きな殿方の気持ちもわかります)、小島さんの佇まいはとても素敵だったよ!凛として媚びてないからかな?

 小島さんの言葉より・・・。

 「まず、アラフォーって言葉はだめ。それはごまかしの言葉です。きちんと中年と言いましょう。私は中年女で、おまけに体は真っ平らです。」

 「そうです。年を取ることからは逃れられないし、そもそも自分の体は選べません。」

 「思うようにならないから不自由なんじゃなくて、思うようになると思うから不自由なんだとわかったから、こんなふうに世の中に開いていけた気がします。」

*****

 私は子供を持ってなお人生をふくらませていってる女性が好きだし、自分自身もそうありたいと思っている。もしかしたら、その姿勢が嫌味のように感じられる人もいるかもしれないけど、小島さんにしても私にしても、安穏と恵まれて、というわけではなく(もちろん恵まれた環境に感謝しつつ)、苦しみもがいて得た今だと思う。

 いっぱい傷や愛を得たからこそ、自由になれる、「自分を差し出せる」ってところはあるし、そんな意味でも年を重ねていくことはやはり素晴らしいと思う。

☆これ書いた後で、小島さんのツイッターを見た。反響を(いいも悪いも)受けとめる潔さがかっこよかった。そして、グラビアの撮影地は伊良湖だったとのこと!私のふるさとだよ~(笑)

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2010.07.11

 『トリアングル』

 どんな状況でも、本だけは読んでいる。

 先週、『徹子の部屋』に出ていた俵万智さんを見て、彼女の初小説『トリアングル』が読みたくなった。2004年に発行されたもの。

 あらすじをざっくり書けば、33歳のライターが12歳年上の妻子持ちの写真家と恋人関係にありながら、新しく出会った7歳年下のフリーターともつき合うようになり、フリーターとは別れ、写真家とは続いていく・・・そんな日々を、場面によって短歌も織り交ぜながら綴った小説。

 主人公に、「子どもを産んでみたい」という気持ちが芽生えたところで物語は終わる。

 ご存知の通り、俵さんは結婚しない状態で男の子を産み、育てている。

 なのでどうしても、主人公と俵さんが重なってしまう。

 写真で風景を切り取るかのように書かれた鮮やかな短歌は、どうしても創作には思えず、実感のこもった美しく強い言葉に感じられる。

 よく取り上げられる短歌のひとつ・・・

 <焼き肉とグラタンが好きという少女よ私はあなたのお父さんが好き>

 いわゆる「不倫」を扱った作品は、一部の人から猛烈に攻撃されたりするけど(私もその目に遭い、正直びっくりしました)、私はこの小説を読んで、なんというか、未来的な印象を受けた。

 サガンの『悲しみよこんにちは』を読んだ時にも思ったけど、例えばフランスだったら割とよくある話が、日本では珍しい話ととらえられる。

 経済的にも精神的にも自立した男女が、「子を産みたい」という選択を持つ時に、結婚の有無は関係ないように思う。

 常識とか超えたところで、生きもののメスや本能として、「子を産む」という選択ができる女性は確かにいるのだ。

 ジョディ・フォスターの時もそう思ったけど。

 主人公が誕生日を経て34歳になり、終盤に出てきた短歌。

 <古びゆく卵子を抱え春の午後エステティックサロンに通うわたくし>

 こんな風に、時々ズキっと来るような描写や短歌が出てくる。

 俵さんが子供を産むことを認めた相手の男性は、おそらく俵さん自身の生き方や彼女の感性をとても信頼しているんだと思う。俵さんと結婚はしなくとも、母親になった彼女を見てみたいという器を持った人だとも思う(『トリアングル』を読んでの勝手な推察で申し訳ないが・・)。

 そういう関係が築けるなんて素敵だなと思う一方で、あらかじめ「シングルマザー」という選択はどうなんだろう?とも思う。

 『徹子の部屋』での話によると、息子さんはまだ遺伝上の「お父さん」という人には会ってない様子。「子を産みたい」というのが繁殖期の女の本能だとすれば「父親に会ってみたい」というのも子の本能だと思う。

 自立し、自由を得て未来的な選択ができるようになった一方で、「子」単体の思いについてはまだまだわからない。今まで代理母などの倫理上の問題は、親の側から眺めてしまっていたけれど、確かに子供にとっても難しい問題だよなあと思う。

 「子」の思いから連想して、先月読んだ山崎大地さんの『宇宙主夫日記』を思い出した。夫婦の事情により、娘ちゃんは、同じ年頃の子供の中では世界一とも言えるような距離の移動をさせられていた。

 父親も母親も優秀で、自我を通そうとするがために、世間的には立派で、子供も素晴らしい経験をしているようだけど、その実、父母の事情や感情のために地球規模であちこち引っ張られた娘ちゃんの気持ちは一体・・・と思ってしまったのだ。

 器も能力も愛情もなく子供を放置してしまうネグレストも問題だけど、器や能力や愛情があり過ぎるために、結果的に子供を振り回してしまう親も罪深いよなあと思った。

 どんな選択も自由だけれど、その選択が子供にとって良かったのかどうか、というのは、ずっと先にならないとわからない。

 バリバリ働いて子供も育てて、、という女性は素晴らしいけれど、優秀な人が親になっても優秀さを貫こうとしたら、弊害も起きてくるんじゃないかな~。それはその家族の問題であるし、どの親も子も(私だって)、自分の状況を良きものと思いたいけれど、真の部分ではどうだろう?と思ってしまった。

 『トリアングル』自体は、とてもおもしろい小説だったし、俵万智さんの感性の鋭さを改めて感じた。ちなみに俵さんは大学のサークルのOGに当たる。真面目な優等生タイプに見えるけれど、なかなか深い体験をなさって、柔和な笑顔と裏腹の、ものすごい気の強さを持って今に至ってるんだなあと興味深かった。表現者のあり方としてはやはり超一流の方だと思うし、尊敬する。

 ☆側頸嚢胞は相変わらず腫れ続け、水を抜いた量も、20CC、38CC、52CCと増えている(Lサイズ卵、大げさじゃないでしょ)。

 医師は「一時的な腫れだと思うから、すぐ手術を考えなくていい」とおっしゃるけど、どうなるかな?私としては、夏休み中に手術をしてしまいたい気持ちもある。

 かずちゃん、ありがとね!

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Photo_4  おいしかった鰯の写真。食べかけですみません。

 30匹で150円くらいの鰯を塩焼きして、にんにくと青じそを入れたオリーブオイルに浸したもの。

 (毎度夫作ですが・・・)

   

      

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 箱買いしたトマト(一箱398円!夜の撮影なので暗いけど、真っ赤に熟しています)。

   

  

 たいへんなことはいっぱいあるけれど、目の前のご飯がおいしいと、それでいいや~という気になる。生活のために地元に戻ってきたってのは、本当の話。豊橋は退屈だけど(笑)、豊かですよ!

              

          

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2010.05.19

 『ファミリー・シークレット』

 

 前回のつづきで、さっそく買って読んでいる 『ファミリー・シークレット』。

 この本、凄い、凄まじいです。

 何重もの意味で・・・。

 読んでいる間中、涙が目を覆っていた、という体験は前にもあるけれど、何年ぶりだろう、この感覚は?というくらいすごい。

 書くことで自分に向き合い、個人的な言葉や事柄が普遍性を呼ぶ、柳さんの業や才を感じると同時に、カウンセラーの長谷川さんの分析や言葉が素晴らしい。

 まだごく途中だけど、この本は「虐待」について掘り下げています。

 された虐待、してしまう虐待・・・。

 子供は生まれ育つ家や親を選べない。その子供が親になった時も、その人自身が救われていなければ、問題は連鎖してしまう。

 根が深いとも言えるし、どうしようもないことで誰も自分を責めなくてもいいようにも感じるし・・・。

 育児している人や、教育に熱心に取り組もうとしている人、もっと言えば、すべての人に通じる話が満載。

 本が売れないとか言われるけど、この本は買って読むに十分値する。

 個人的には、表現者として「差し出す」意味を問われる気もする(私は柳さんや、例えば最近なら草刈さんみたいなことまではしないけど・・・人によっては同じと思われているだろうけど)。

 柳さんには救われない過去や自分があっただろうけど、書くことで世界を広げ、書くことで出会った人に救ってもらえているような気がして、そんな意味では、どんなに悲痛なことが書いてあっても、生きる素晴らしさを感じさせてくれる。

 自分自身や子育てのために、線を引いておきたい箇所がいっぱい。

 いやあ、本気の本です。

 

              

             

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2010.04.16

 『シネマ食堂』

 

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 フードスタイリストの飯島奈美さんの本です。

 ご存知の方も多いと思うけど、映画『かもめ食堂』や『めがね』等々で、映画の食事シーンを手がけてきた飯島さんが、映画(と少しの小説)の70品を再現している楽しい本。

 AERAに連載されていたものだそうです。

表紙写真は、『かもめ食堂』のシナモンロール。

 

 この間、長男が料理番組を見ていて(彼は本当に料理や裁縫が好き)、パンを作る場面でふと、「ねえ、お母さんが見てた映画のパンって、最後に小指でつぶしてたよね」と言い出し、最初は何のことかわからなかった。

 その後、彼の言う映画が『かもめ食堂』とわかり、有名なシナモンロールを作る場面を思い出していたのだった。

 小指で・・・というのは、私はすっかり忘れていたけれど、確かに、この本のレシピを見ると、「強力粉をつけた両手の小指で中央を押してつぶす」とある。

 子供の断片的な記憶力にびっくりすることってよくある。

 そんなわけで、前々から子供たちが興味を持っている(その気持ちはよくわかる)パン作りは、まずシナモンロールに挑戦してみるつもりです。飯島さんのレシピは、とってもわかりやすいです。

 この本に出ている料理は、例えば、『南極料理人』の鶏の唐揚げやら、『青いパパイヤの香り』の空心菜炒め、外せないであろう『クレイマー、クレイマー』のフレンチトースト、『タンポポ』の炒飯、『フライドグリーントマト』のフライドチキン、『ニューシネマパラダイス』のグリーンサラダ、『グッドモーニング、ベトナム』の鶏団子のフォー、『お茶漬けの味』のお茶漬け、『阿修羅のごとく』の揚げ餅、揚げ餅納豆、『グラン・ブルー』のボンゴレスパゲティ、『アメリ』のクレームブリュレなどなど、どれもこれも、料理を作りたくなるし、映画を観たくなる。

 「ほとんどのページが、私の作業場のリビング部分での撮影」とのことで驚いたけど、料理も写真も、きれいにまとまり過ぎてない、本当に映画や生活の一シーンを切り取ったようで、眺めているだけで楽しい。軽くてオシャレな料理本ではなく、奥行きを感じるところが気に入っている。

 お仕事の雰囲気がよく伝わってくるような『ほぼ日』のインタビューより・・・

 http://www.1101.com/megane-movie/

 あわせて、吉行淳之介の『暗室』や『闇のなかの祝祭』、そして、吉行亡き後の大塚英子さんの『「暗室」の中の吉行淳之介~通う男と待つ女が織り成す極上の人生機微と二人の真実~』等々読んでいる。

 宮城まり子さんの『淳之介さんのこと』は読んだことがあったけど、吉行作品は読んだことがなかった。それは大学時代くらいに読んだ村上春樹のエッセイで、確か安西水丸さんのイラストで、吉行淳之介のモテぶりというかエロぶりというかキザな感じが描かれていて、当時の純情な私(笑)からすると、色ものに感じてしまっていた。

 でも、今回初めて読む小説は、さすがだなあと感心する描写ばかり・・・。

 何十年も前に、こんなに色っぽくて繊細な小説を書く人がいたなんて・・・。

 大塚さんの、追悼本というよりは暴露本みたいな本も、「女ってこわい~~」という嫌な感じを受けながらも、色々考えさせられる。 

 人間ドックの結果で、ひとつ精密検査が必要となり、やれやれまたかよ~と思って落ち着かない週末。本に助けてもらって過ごします。

 昨日は、夫と初めて出会った日からちょうど10年で、初めて会った時の様子を子供たちに細かく話したら、大爆笑!!「こんなにやさしかったんだよ」と言ったら、「今と全然違うじゃ~ん」と・・・。こっそり聞いていた夫にも効き目があったと思う(笑)。

        

                   

                                 

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2009.12.14

 陰翳礼賛

 前回書いた、『愛のコリーダ』を偶発的に一緒に観たフランス人は、テレビ局のカメラマンをしているかっこいい人だった。

 『愛のコリーダ』を観て、「キミたち、いくらなんでもやり過ぎ。離れろよ!」みたいなことを笑いながら言ってた気がする。

 彼から教わり、帰国後も私に残ったものが三つある。

 一つは、谷崎潤一郎の『陰翳礼賛』、もう一つは、「LU」のビスケット、そして、「ブラジルが素晴らしかった」という言葉。

 その人は日本に対し、とりたてて深い興味を持っているわけではなかったけど、「教養として」という感覚で、「タニザキ」や「ミシマ」や「カワバタ」について知っていた。

 突然、「タニザキなら、『インウェイライサン』を読んだ」

 みたいに言われて、何を指しているのかわからなかった。

 谷崎潤一郎に関しては、『細雪』か『痴人の愛』しか知らず(それもタイトルのみ)、『インウェイライサン』について何も言えないことが、日本人として恥ずかしかった。

 帰国後に、彼の発音を頼りに、「ああ、『陰影礼賛』って言いたかったんだ!」と思い、慌てて読んでみたら、とても面白い内容だった。

 日本古来の侘びさびや禅に通じるような美意識をたたえ(表層的な物言いですみません)、西洋から入ってきた明るい電灯など(いわゆる西洋文明)に抵抗や疑問を感じているような内容(うろ覚え)。

 のちに、本木雅弘氏の本に関するインタビューでも『陰翳礼賛』を目にした気がする。

  

 LUのビスケットはこんな感じ。

 http://provencezakka.com/SHOP/GT_02.html

 http://www.fleur-de-coeur.com/shopping/sonota/004407.html

 フランスではものすごくポピュラーなビスケットらしく、くせになるような素朴な味わいだった。

 日本でも最近買えるようになったけど、フランスで一箱100円程度のものが、400円くらいしちゃうのが残念(豊橋ではスーパーアツミで見かける)。

  

 そして、取材で世界中を旅していた彼に「どの国が一番良かったか?」と尋ねた返事が「ブラジル」。

 のちにイグアスの滝目当てでブラジルに行った時、街に溢れる豊かな緑やそこかしこに漂う生命力に、確かに素晴らしい国だと思った。南米大陸は、ほんとはもっともっと旅したい。

 ところで、今思い出すと、彼の言った『陰翳礼賛』は、

 < IN WAY RISING SUN >

  っぽかった気がする。

  なんか、それも素敵だな。

☆☆☆

  

 新聞に出ていた「東京特派員の目~今年の『ニッポン』~」という記事より。

 イタリアの記者さんの話。

<・・・それにしても結果は予想以上の民主党大勝だった。308獲得議席はまさに「ツナミ」だ。イタリアでこんな歴史的な政権交代が起きれば、市民が街頭に繰り出してお祭り騒ぎになる。ところが日本は静かだった。これにはびっくりした。>

 私もその夜、テレビで大興奮し、サッカーのワールドカップのにわかファンみたいに、街に繰り出して飲んで騒いで抱き合いたかった(どこでもいいから民主党の事務所訪ねて一緒にバンザイしたかった)。

 というわけで、この記事読んでホッとした。イタリアはいいな(選挙に関してはギリシャもかなり熱いんだよね。あんな風にカフェでお茶ばかりしてなんだかヒマそうに楽しそうに人生暮れてく方が幸せだよなあ)。

  

      

        

  

              

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