ボクシング
おゆうぎ会で、まあるい感動を受けた夜、忘れていたボクシング世界戦を慌てて見た(間に合った)。
内藤vs亀田戦、いい試合でしたね。
登場してきた時から、亀田選手の方が顔や空気に余裕があった。
それにやはり、上り調子の若さにはかなわないところがある。
内藤選手の強さややさしさも本物だろうけど、あれやこれやを経て再び立ち上がってきた23歳の長男は強いと思う。
3年前、亀田選手がライトフライ級でチャンピオンになった時、私も多くの人たちと同様、「いくらなんでも亀田の負けだろう」と判定に疑問を持った。そこで実況をしていたTBSの土井さん(大学時代の先輩)にメールで質問したらとても丁寧な返事をくれた。
私は土井さんのことを信頼しているけれど、当時、土井さんもいわれのないバッシングを受けただろうから、今回実況するのかどうかTBSの判断も難しいところかな?と思った。でも、聞こえてきた声は土井さんの声でうれしかった。
登場シーンにて。
内藤選手も亀田選手も、それでしか生きられない男の強さと美しさ、哀しさを漂わせていた。
きっと実況している土井さんも(ついでに僭越ながら今書いちゃってる私も・・・)。
<才能は祝福ではなく欠落である>
これは確か、村上龍さんの言葉を吉本ばななさんが紹介してた気がするけど不確か・・・(どこかの病院でふと手にしたばななさんのエッセイ本で妙に印象に残った部分)。
才能は、神からのギフトであると同時に苦しみだと思う。
そして、どんなことでも突き詰めれば突き詰めるほど、孤独を余儀なくされる。
亀田選手は明らかに成長した。
(個人的には三男大きくなったなーと、お母さん目線でもあった)
試合後の彼の涙は美しかった。
今朝、速攻で土井さんにもメールしたけど、参考までに、2006年8月21日(『ダリア』以前)の旧ブログより。
当時、以下のブログを読んでさらに反論してくる男友達もいたけど(一瞬ケンカになりつつ、今も仲良し・・・男友達とのつき合いは、遠慮なくケンカできるし引きずらないのがいい)、腐敗してるように見えるテレビ界にもちゃんとした人はいるってことを、あらためてお伝えしたいです。
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『68 信頼』
☆少し前に書いた文章です。
8月2日の亀田興毅選手の世界戦の判定には疑問を持った人も多いと思う。
私もその1人だったので、試合の翌日、実況をしていたTBSの土井アナウンサーに問い合わせてみた。
土井さんは大学時代のサークルの一年先輩で、ずっとお世話になっているお兄ちゃんみたいな存在だ。
曲がったことが大嫌いな正義感のかたまりみたいな人なので、世間で言われているような「TBSが介入したのではないか」とか「筋書きがあったのでは?」という疑惑について、メールで率直に尋ねた。
内容次第では土井さんとの関係も切れてしまうかもしれないとドキドキしながら返事を待っていた。すると、忙しいだろうにその日のうちに返事をくださった(山のようにメールが届いていたそう)。
本当は全文を掲載したいくらいだけれど、迷惑がかかってはいけないので、短くまとめさせてもらうと、
まず、
「ボクシングの世界戦に介入できるほどの権力はテレビ局にはない。
結果だって最後まで知らなかったし、もし筋書きかけるならもっと簡単に勝たせるし、あんな騒動になる事なんかさせないだろう」
から始まり、ジャッジについても詳しく説明してくれた。
「・・・・・全体の印象ではなく各ラウンドでつけるので、印象と結果が食い違った。それで騒動になるんですよね。ボクシングには往々にしてあります。
となると、問題は各ラウンドで亀田がとれたのか?になるが、採点基準は有効打、アグレッシブさ、ディフェンス力、リングゼネラルシップの4つ。リングゼネラルシップは戦術、試合運びなどの事で、言い換えればうまさ、ズルさとなるかな。これのどこに重きを置くのかは各ジャッジに任されてます。つまり、手数が多い、相手に合わせてパンチを返していた、だからランダエタとなるか、手数と言っても手を出してるだけ、ダメージを与えるものではない、ならば強く打って、効いているパンチを出している、前に出て攻めている亀田に10点となるかは人それぞれなんです。
それを解説の鬼塚、竹原、畑山は話しているんですね、判定は難しいものになる、と。・・・・・」
これはとても参考になった(本当はもっと詳しく、薄氷の勝利に言及している)。
私が素人なりの補足をさせてもらうと、第一ラウンドの亀田選手のダウンで、亀田が大きく不利という印象を受けたけれど、採点上はランダエタ:10対亀田:8という2点の差しかなく、その後の挽回は可能なわけだ(システムについて知らなければダウンは衝撃的なので10対0とかついているように思ってしまう人もいる)。印象と採点は違うということを冷静に受け取らなければならないと思う。
あまり付け加えると言い訳のように受け取る人もいると思うので、土井さんのコメントをあと少しだけ抜粋させてもらうと、
「個人的には亀田負けでもよかったと思うよ。まだ19だし、負ける事はなんら恥ずべきことではない。
なかにはほれ見た事か、やっぱり口だけという人もいるでしょう。しかし、同じ位、亀田のがんばりを見直した人、よく最後まで立って戦ったと感じてくれた人はいたと思います。
だから、もし筋書きがかけるなら、わたしなら惜敗ですよ!
その方が亀田人気にはいいと思うもん!(笑)
しかしながら、そんなものを持ち込めないのがスポーツの難しさ
都合良くドラマティックにはなかなかならんのです」
私はこの部分に、本当のことを見るような気がした。
土井さんの言葉をなぜ信じられるかというと、それは「信頼」以外のなにものでもない。出会ってから15年の間に構築してきた関係により、私は土井さんのことを信じている。
本当は、ホームタウンデシジョンや過去の試合例、試合の日程等についても色々教えてもらったけれど、長々と書くのは逆にTBSの言い訳や土井さんの弁護のように取られかねないので、ここでは書かない。
長々と書く必要がないくらい、土井さんはスッキリ爽やかに亀田戦の結果を受けとめているのだ。
雑誌もネットもまだまだ熱くなっているけれど、私にとっては同じ世界一でも、野球のWBCの時の方が「日本優勝でいいわけ?」とシラけていた。
良いも悪いも、みんなマスコミに踊らされている。
結局、今回のゴチャゴチャで一番気の毒なのは亀田選手本人だと思う。
私は、試合を観ながら、勝ちでも負けでも、最後まで闘い抜いた亀田選手は本物だなあと思っていた。
いつも強気な亀田選手がリング上で時折見せた気弱な少年のような顔。
素朴でストイックな修行僧のような素顔に、母親のような気持ちになった。
メディアで見る亀田選手はガラが悪いし、大げさなパフォーマンスを好きになれない人も多いと思う。
(素は土井さんいわく「好漢」らしいし、私もそう推測する)
でも、尋常ではない厳しい練習に耐えているのも事実なのだ。
19歳が48キロ台に身体をしぼり込む、そこには並々ならぬ強い意志や夢を追うたくましさがある。
彼の努力や純粋さまでが今回の件で汚れてしまうのは悲しい。
かつて、辰吉選手はボクシングについてこう言った。
「一生のうちのたった30分がんばれば、人生変わるんやで!」
その言葉は妙に説得力があったし、当時高校生だった私は夢が描けた。
しかし、たった30分のために彼が血を吐くような努力をしていることも事実なのだった。
ジダンの時にも思ったことだけれど、世界を相手に闘っている人たちに対し、軽々しくは口を挟めない。
今回試合の終盤で解説の鬼塚さんが言っていた、
「これが世界ですよ。いいんですよ。みっともなくても。
なんとかリングに立ち続けて勝利を目指す。それが世界を獲る厳しさなんですよ」
この言葉には、涙が出そうになった。
世界を知っている人ならではの言葉、世界を相手に闘った人にしか許されない言葉だと思ったし、亀田選手への愛情を感じた(辰吉・鬼塚両氏に対しても色々言う人はいるけど、真相はどうあれ、私は彼らのがんばりを尊敬している)。
鬼塚氏をはじめ、一緒に解説をしていた竹原氏、畑山氏のように、血を吐く苦しみを体験している人たちにだけ許される見解がある。
そして私は、世の中が何と言おうと土井さんを信じている。いつもと変わらぬ温かさ、誠実さでキッパリハッキリ爽やかに解説してくれた先輩を。
社会に出て変わってしまう人も多い中、人が時に汚い世界と呼ぶようなテレビ界・スポーツ界で昔と変わらないまっすぐさを貫いている。もちろんプロとしての柔軟さを身に付け成長を続けながら。そして今なおスポーツに愛情と誇りを持ち続けている。今回のような騒動があってもその姿勢はブレない。ブレないからこそ勝敗にウソはなかったと信じられる(土井さんは会社や背後に丸め込まれるようなヤワな男じゃないです)。試合のあった週のブロードキャスターで土井さんは上記に書いたようなジャッジの説明をしたが、話に入る前に「これからお話ししますのは弁護などの類いのものではな くて、ボクシングという競技についてさらに理解を深めて頂くためにするものです」と言った。それは彼の本心だ。ボクシングが本当に好きな人だし、責任を持って仕事に臨んでいる。私は変わらない土井さんを尊敬している。
私が土井さんのメールを受けて送ったお礼のメールの末尾に書いたこと
「あーーー、嬉しかった。
何より、土井さんが土井さんでいてくれることが嬉しかった!!!」
私にとって、今回は、荒れ狂う大波のような世論に反し、渦中にいる土井さんは意外にも凪だったことが大きかった。気が抜けるくらいにそのまんま。
べつに世のすべての人に、土井さんの言うことを信じて欲しいなんて思っていない。
私は、私の先輩を信じる。ただそれだけのこと。
肥大化していく情報や噂のなかで自分なりの真実を見つけたい時何を基盤にするか。
それは信頼だと思う。
この文章がなかなかまとまらない間にお盆で実家に行き、両親と弟(スポーツ好きで2日もそれぞれの仕事が忙しいのに手を休めて中継を観た)に「この間の亀田戦どう思った?」と聞いてみた。
みんなの返事は「亀田よくやったと思うよ~~。なんであんなに騒ぐのか分からん」とのこと。
ほんとにうちの家族はのん気というか素直というか、、、幸せな人たちだなあと思った。
(どんなことでも、考え過ぎることは幸せを見失うような気がした)
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