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2010.04.21

 愛をこめて(笑)

 お正月ごろ読んでいた、村田喜代子さんの小説、『ドンナ・マサヨの悪魔』。

 印象的な文章を書き留めておきながら、UPするタイミングを逸していた。

 それを、このたび、盟友に捧ぐ。

  

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 <イタリアの育児は褒めまくりなのだそうで、子供たちは熱狂的に抱き締められ、接吻され、愛と賛嘆の言葉を投げかけられて育つのだとか。そういえばこの国は世界で最低の自殺率なんだそうですが、それは生まれる以前から愛の言葉を山と浴びたおかげなのか、それともパオロを見て実感するのですがとにかくよくしゃべるおかげで絶望している暇がないのか、いずれにしろ賑やかなことです。>

 <帰りは母と子が晴れて身二つになってここを出て行くのです。この夜のしじまの中で、女性の一生でいちばん激しいことが起こるのでした。このことに比べたら処女喪失なんて蚊が刺したようなものです。>

 <「人類は、生物の自覚が欠落しているのです」>

 <夫婦に愛はいるのでしょうか?
 西洋では夫婦間に愛情という概念が入ってきたのは、近世になってからだといいます。農耕の作業分担と子作りのために、夫婦は組み合わせられたんだって読んだことがあります。
 強迫観念の夫婦愛なんてです(←注:ここアヤしいので、再度確認します)。
 とりあえず人類愛でまけてもらえないでしょうか?>

  

 作品に出てくる悪魔に「老いたるヒトのメスよ・・・」と呼びかけられる年齢の作者(1945年生まれ)が描く生と死をめぐる壮大なお話は、その年齢だからこそ書ける落ち着きと慈愛に満ちている。

 まだまだ人生の途上にいる私が同じことを書いたらバッシングされるようなことも、60をこえてから書けば「なるほど~」と受けとめられたりする。
 年をとると自由になるってよく聞くけど本当だと思う。

 今しか書けないこともあれば
 今書かないほうがおもしろいこともある。

 

             

              

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