185 松井冬子展
「見せびらかす」という言葉は、なんと卑猥で哀切に満ちた響きだろう。
松井冬子さんの『浄相の持続』と、そばに提示されていた解説文を目の前にして、そう思った。
平野美術館(浜松市) 『松井冬子展』
http://www.hirano-museum.jp/tenran/fuyuko_matsui1.htm
正直、万人におすすめできる絵ではないです。
私も友達も、長い時間、そこにとどまりたいとは思いませんでした。
でも、たまらなく惹きつけられたし、揺さぶられた。
心に残ったのは、あんなにきれいな人が、なぜあそこまで執拗に描写するのか、という不思議と、あそこまで描写せずにはいられない情念。
言葉にできないものが、強烈な残像として私に残ったのは確か。
松井冬子さんの代表作としてよく取り上げられる『浄相の持続』(どんな絵かは、上記のHP等からご覧ください)。
添えられた解説の一部に、「赤児のいる子宮を見せびらかす」「雌しべを見せびらかしている」とあった。「同調は卵子を持つ女の特権」とも・・・(撮影やメモは禁止だったので、同調~の部分は克明でない)。
確かに絵の中の女は、腹の中や子宮の中まで見せびらかし、周囲の花はいやらしいほどに花弁を開き、雌しべの存在を誇示している。
女であるがゆえの苦しみ。女であるがゆえの凄み。
松井さん本人の卓越した美しさと、描かれる絵のおどろおどろしさとのギャップが話題に上りがちだけれど、本人(おそらく)による解説とともに観ると、哲学や心理学、生物学、ジェンダー論等々、幅広い「知」を感じさせてくれる。
正直、「松井さん、何があったの?」とみんな問いかけたいと思うけれど(笑)、女として生まれ、女であることから逃れられず、そして、女であることから逃げず目を背けず、女を描く松井さんの強さを感じた。
植物との絡みや、傷や血や乳腺まで描く絵は、フリーダ・カーロを思い起こさせたし、私自身の創作ともつながる面を感じた。
なぜ、そこまでかくの?
と問われても、
かかずにいられないから、としか答えようがない。
私も、自分の内臓を見たことがあるけれど(腹腔鏡手術の映像)、艶かしいほどに美しいと思った。
業(ごう)、そして、性(さが)。
才能とは欠落だと言った人がいるけれど、祝福よりも嘆かれるような狂気、才気を感じた。
部屋に飾ってハッピーになるような絵ではない。
人によっては拒否反応を起こしたり、怒りや不快感を覚えるだろう。
救いようがないほど暗い、陰惨な絵を目の前にして思ったのは、
「私は、今、生きている」ということだった。
何年か前、冬のアイルランドに出かける友達に、なぜアイルランドかと尋ねたら、「寂しい風景を見て塩抜きしたい」と言った。
松井さんの絵を観て、その言葉を思い出した。
☆☆☆☆
美術館のあとは、ずっと行ってみたかった『キルフェボン』へ。
http://www.quil-fait-bon.com/top/top.html
今更!?って感じでお恥ずかしいですが、私が東京を去る頃に青山店が話題になり、ずっと食べてみたいと思っていました。実は静岡が発祥で、寄ってきた浜松店が2号店、『キルフェボン』という名前は浜松店から始まったそうです。いちごのタルトと洋梨のタルト、季節のフルーツのタルト、チョコレートとバナナのタルトを1ピースずつお土産に・・・。
その後は、駅ビルに入っている『フレッシュネスバーガー』でお昼ごはん。
これも、近くにある人は、なぜ?って思うかもしれないけれど、東京時代のお気に入りのお店でした。当時住んでいたアパートの近くの一号店からスタートし、AD時代には、会社の近くでみんなのランチとして買い求めたこともありました。その後、「やっぱり」というチェーン展開(10年ぶりに食べたけど、おいしかった)。手作り感にあふれ、海の家みたいだった発祥の頃が懐かしいな(興味のある方は、HPの「PROFILE(会社概要)」のところの「フレッシュネスバーガー誕生秘話」をご覧ください)。
http://www.freshnessburger.co.jp/
帰り際、息子たちに頼まれていた「安倍川もち」もゲット。
電車に乗り、友達に車で家の近くまで送ってもらい、歩いていたら、向こうからランドセルを背負った息子の姿が・・・。安倍川とケーキを見せて、お互い笑顔。
このところ、子供や幼稚園への奉仕が続いていたので(お遊戯会の舞台裏は汗だくでたいへんでした)自分のために時間を使えて、満足だった。子供が無事に学校や園に行き、予定や希望を叶えられることがミラクルに思えてしまう今日この頃。
「見せびらかす」って嫌な言葉だけれど、この言葉に性別をつけるとしたら、女だなと思った。
☆2年前の松井さんの写真&映像(音が出ます)
VOGUE Women of the year 2006 http://www.vogue.co.jp/woty/09.html
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